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イヌパシーの開発理由:「私たちはどこまで、犬を行動から理解できるのか?」

こんにちは。ラングレスCTOの山口です。
今回はイヌパシーを開発したきっかけについてお話します。

イヌパシーを作った理由は1つではなく、様々な疑問や好奇心がきっかけになったのですが、その中に最も大きなきっかけとなった疑問は「私たちはどこまで、犬を行動から理解できているんだろう」という、素朴な疑問がはじまりでした。

 

結局、私たちはどこまで、犬を行動から理解できるのか?

わかりきったことですが、犬はとても表現豊かです。コロコロ変わる表情を見せて、楽しませてくれます。でも同時に、その豊かな表現をちゃんと理解してあげられているのかだろうか?と気になることもあります。

「シッポ振ってると喜んでるって本当?ウチの子はトイレいきたいアピールの時も短いシッポをピコピコ動かすけども...。」「お腹見せると服従って本当?ウチの子達、プロレスごっこしてる時に仰向けになって反撃してるけど…?」

些細なことですが、一般的な「犬の行動」のイメージと「うちの子の行動」との間にギャップを感じるようになり、やがてそれが積み重なり、問いが自分の中で生まれました。

プロのトレーナーの方や、長く犬と生活している方々の中には、正確に犬の行動を理解できる人がきっといらっしゃると思います。でも、私のような一般の飼主の多くはそこまで知識はなく、じっくりと経験を積んで理解するには犬の一生はあまりに短いと思うのです。

 

見た目の行動とは別に、内面の様子もみたい

そこで、見た目の行動とは別の、もう一つの信頼できる尺度があればいいな、と思い犬の心拍を解析することを考えました。

例えば、弱い犬は強い犬に会うと心拍が上がる(緊張する)ことが知られています。一方で、飼い主に会うときは心拍は下がります(安心する)。近くにいる相手との関係性や環境(さわがしい、おだやかなど)によって犬の心拍は機敏に変化します。

簡易な心拍測定と、心拍からの感情解析へ

そこで私達は、毛の上から簡易に心拍を測れるセンサーを開発しました。人間では心拍を取得できるウェアラブルデバイスはたくさんありますが、ふさふさの毛で包まれた犬や猫はそう簡単に心拍情報をとることができませんが、私達がつくったセンサーは毛を剃ったり、ジェルを塗ったりの処置なしで、心拍を取ることに成功しました(日米で特許取得済みです!)。

さらに、心拍の速さだけでなく、わずかな心拍リズムの特徴を捉えてパターン解析をしています。人間でも同様の研究は進んでおり、犬で研究を進めたところ、犬が嬉しい時に現れるパターン、犬が集中している時に現れるパターンなどがあることがわかりました。

これにより目の前にいる「うちの子」について、外見の行動からだけでなく、内面の動向も見れるようになり、例えば「同じように吠えていても、猫に吠えている時と犬に吠えている時では心拍の上がり方がまるで違う」というような「うちの子限定の発見」もありました。


今後、さらに研究してより多くのことが心拍パターンからわかるようにしていきたいと思っています。そのためには、皆さんからデータをいただいたり、一緒に研究に参加していただくことが必要不可欠だと思っています。

お読みいただきありがとうございました!
ぜひ、イヌパシーをよろしくお願いいたします。

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